神奈川県議会議員 松崎淳 公式ブログ 夢あきらめないで!

■<年金問題待ったなし>本気で徹底的に、命がけで徹底的に「闘い続ける人たち」を選択するときが来た!

2009年8月26日(水)

「宙に浮いた5000万件」の年金記録問題に見られるように、社会保険庁の管理は非常にずさんなものだった。法律で定められている社会保障制度がここまでいい加減に運営されているとは、国民は思いもよらなかった。社保庁は、「お上のすることだから大丈夫」という国民の心理を逆手にとってごまかしてきたわけで、このいい加減な姿勢の根底には「申請主義」なる役人特有の考え方がある。
 「申請主義」とは、本来、年金を受け取れる年齢に達した人が、その権利を“申請”するものだ。申請をせずに権利の上に胡坐をかいているだけでは、年金を受け取れないとして、国民の権利行使を義務化するためのものとの考えによっている。ところが社保庁では、この言葉本来の意味を都合よく捻じ曲げ、さらに勝手な拡大解釈を加え、権利の申請だけでなく、社保庁の年金記録の誤りも申請して正すべきとしてきた。
 そのことによって社保庁では、いい加減な記録の管理を正当化してきた。記録管理がずさんであったとしても、最後は国民の申請で訂正されるのだからいいという職場風土に安住できてきたのである。しかもその場合、かりに国民がこの記録は間違っていると申し出ても、「われわれが管理している記録が間違っているというのなら、証拠を持ってこい」というのが彼らの態度だった。もし本人が証拠を提出できなければ、問答無用で追い返される。間違いをチェックするのも記録を管理するのも、社保庁ではなく、本人の責任といった考え方なのである。この悪しき「申請主義」があるからこそ、社保庁は年金制度を支える大切な記録をないがしろにして、国民に責任を転嫁することを続けてきた。
この社会保険庁を廃止し、新たに「日本年金機構」を設立する法案を含む社会保険庁改革関連法案が2007年3月に閣議決定され、同年6月に国会で可決。日本年金機構は、職員が非公務員型の公法人として2010年1月に発足することになった。
今総選挙を迎え、年金問題は社会保障の大きな論点となっているのでマニフェストを見てみると、

<その1 「年金記録の正常化」について>
 ○自民党は?
「年金記録問題の徹底対応」と、その表現が非常に抽象的である。3つの項目を挙げているので、それぞれについて見てみよう。
1.基礎年金番号に未統合の5000万件の記録のすべての受給者・加入者についてコンピューター記録と8億5000万件の紙記録との突き合わせを計画的に進める。
 問題なのは、「計画的に進める」では具体性が欠けることだ。確かに計画自体は存在する。今年3月31日に「年金記録問題関係閣僚会議」が開かれ、そこで、解明されていなコンピューター記録1162万件と紙記録の約8億5000万件について、計画的に突き合わせを進め、どうしても分からなくなっているものに関しては「ネットで公示」するという方向が確認された。
 だがこの「公示」について、解明されていない記録1162万件をインターネット上に一気に掲載するつもりなのだろうか。そこから自分の情報をどうやって探し出せと言うのか。パソコンを使わない高齢者はどうすればよいのか。そもそも、これは個人情報であり、その秘密保持は守られるのか。「公示しか手がないから、1162万件もの膨大な記録は、皆さん方で探してください……」ということでは、「計画的」とはいえない。
2.社会保険庁の様々な問題を一掃するため、2010年1月に日本年金機構を設立する。同機構では、業務の適正かつ効率的な実施を徹底しつつ、年金記録問題への対処と迅速な救済を行う。
 これも年金記録問題関係閣僚会議の報告にある「今年の暮れまでに一区切りつけたい」という表現をそのままマニフェストに盛り込んだものだ。ただ、この「一区切り」はあまりに抽象的であるため、一区切りの中身をもっと具体的に説明すべきである。
3.年金記録問題については解決に向けて着実に進め、来年末をめどに解決させる。
 この部分も「来年末をめど」と言うが、その中身がなく、よく意味が分からない。

 
○民主党は?
年金記録の正常化について、「年金記録被害者への迅速な補償のため、一定の基準の下で、『一括補償』を実施する」としている。
 迅速な補償を行うのなら、「第三者確認委員会」のキャパシティー不足による苦境改善策や、無能な「社会保険審査会」への対応策も必要だ。一種の救済窓口になっている「社会保険審査会」は官僚OBが委員になっている機関であり、後輩官僚の行っている年金行政への不満を真摯に受け止めているとは到底思えない。迅速な補償を行うには、こういった組織から作り変える必要がある。
【政策目的】
1.年金記録問題の被害者の補償を一刻も早く進める。
2.年金記録問題の再発を防ぐ。
3.公的年金制度に対する国民の信頼を回復する。
【具体策】
1.「消えた年金」「消された年金」問題への対応を「国家プロジェクト」と位置づけ、2年間、集中的に取り組む。
2.年金記録が誤っている可能性の高い受給者等を対象に、記録訂正手続きを簡略化する。
3.コンピューター上の年金記録と紙台帳の記録の全件照合を速やかに開始する。
4.年金記録を訂正した人が、本来の年金受給額を回復するまでの期間を大幅に短縮する。
5.すべての加入者に「年金通帳」を交付し、いつでも自分の記録(報酬月額を含む)を確認できるようにする。

<その2 「制度の枠組み」について>
○自民党は?
「将来とも安定した年金制度の構築」を軸に「年金制度が将来にわたって国民の老後の生活を支える柱となるよう年金制度を安定させ充実させる」と謳っており、解決策として4つの具体案を提示している。
 まず、「将来とも安定した年金制度の構築」に対する所感だが、このような内容はもう聞き飽きたという一言に尽きる。自民党が考えている年金制度の維持は「社会保険方式」である。しかし、急速な高齢化にもかかわらず「社会保険方式での制度の維持可能性」についての言及がない。自民党は現政府の「所得代替率(現役世代の手取り収入に対する厚生年金の給付水準)50%の水準維持」を容認している。ただし、これは賃金上昇率2.5%、物価上昇率1.0%、積立金の運用利回り4.1%、出生率1.26%を前提としたものだ。しかし、実際には物価も賃金も下がっているので、保険料収入も減ることになる。一方、高齢者は予想以上のスピードで増加しているので、受給は増える。このままだと、「所得代替率50%維持」の約束は到底守れない。この点にまったく触れていないのは問題である。
 積立金運用にしても、去年1年間で9兆6000億円の損が出ている。過去6年間でも運用益はほとんど出ていない。まずは制度全体の不安感を除去する政策を明記してもらいたい。
 4つの具体案を見ていこう。
1.3年以内に無年金・低年金対策のための具体的措置を講ずる。
2.非正規で働く人への年金保障に向けた見直し、在職老齢年金の見直しを行う。
3.被用者年金制度の一元化は早期に実現する。
4.年金制度については政争の具にすることなく、超党派による協議機関の早期立ち上げるなど、党派を超えて議論を行い、財源問題も含めた社会保障制度の一体的見直しと整合的なものとして見直しを行う。
 まず「3年以内に無年金・低年金対策のための具体的措置を講ずる」だが、ここでも具体性が欠ける。具体的措置の中身にまで踏み込むべきだろう。なんら難しいことはない。無年金者への措置の一部は、25年の資格期間を10年に縮めればすぐできることであるし、低年金者への対策は年金額のかさ上げをすればできる。もちろん財源が必要になるが、やる気になればそんなに難しい話ではない。
 「非正規で働く人への年金保障に向けた見直し、在職老齢年金の見直しを行う」も同じで、どう見直すかの一言が欲しい。
 「被用者年金制度の一元化は早期に実現する」だが、少々言葉が難しい。「被用者」というのは民間サラリーマン・公務員・短期雇用者など勤め人のこと。ここでポイントになるのは、公務員の一元化である。実はこの議論は25年前から行われてきており、5回も閣議決定されている。ところが、自らの既得権益を守ろうとする官僚の反対にあって中途半端な結果に終わっている。
 以上の3点に関しては、自民党は政権与党として、これまでやろうと思えばすぐに実行できることだった。なぜやらなかったのか、国民に対し納得のいく説明をする責任がある。
 4.で「超党派による協議機関の早期立ち上げるなど、党派を超えて議論を行い」としているが、これまで超党派での対応を拒み続けてきたのは自民党のほうではないか。

○民主党は?

「制度の枠組み」について、大枠としては「一元化で公平な年金制度へ」と記載している。この一元化には、様々な定義があるが、「公務員と民間サラリーマン、自営業などの一元化」をイメージするといいだろう。換言すれば「官民格差の是正」と「基礎年金の全額税方式」ということだ。
 それでは政策目的と具体策を見ていこう。
【政策目的】
1.公的年金制度への国民の信頼を回復する。
2.雇用の流動化など時代にあった年金制度、透明で分かりやすい年金制度をつくる。
3.月額7万円以上の年金を受給できる年金制度をつくり、高齢期の生活の安定、現役時代の安心感を高める。
【具体策】
――以下を骨格とする年金制度創設のための法律を2013年度までに成立させる。
1.すべての人が同じ年金制度に加入し、職業を異動しても面倒な手続きが不要になるように、年金制度を例外なく一元化する。
2.すべての人が「所得が同じなら、同じ保険料」を負担し、納めた保険料を基に受給額を計算する「所得比例年金」を創設する。
3.消費税を財源とする「最低保障年金」を創設し、すべての人が7万円以上の年金を受け取れるようにする。「所得比例年金」を一定額以上受給できる人には、「最低保障年金」を減額する。
 民主党のマニフェストのなかで、ほかに注目されるのは「歳入庁の新設」である。その政策目的と具体策は次のような内容だ。
【政策目的】
1.年金保険料のムダづかい体質を一掃する。
2.年金保険料の未納を減らす。
【具体策】
1.社会保険庁は国税庁と統合して「歳入庁」とし、税と保険料を一体的に徴収する。
2.所得の把握を確実に行うため、税と社会保障制度共通の番号制度を導入する。
 
  1. 2013/07/16(火) 21:08:27|
  2. その他

論争 財政改革⑮ かながわ再生特別委員会編

平成23年3月3日かながわ再生特別委員会での質疑
県庁正規職員削減の中で、非正規職員は?

松崎
今、職員の削減について取り上げられているのは、専ら正規職員だというふうに理解しています。もう一方で、県庁の中で働いている人の中には、非正規の職員の方もいらっしゃると思います。職員数の削減というものを取り上げる場合には、正規職員の方以外にも、非正規職員の方々の実情というものも取り上げないといけないのかなと思いましたので、関連でお伺いします。
 まず、非正規で働いておられる方は県庁で何人くらいおられるのかお伺いします。非正規の方々のとらえ方は4類型あると思いますが、累計毎の人数を分かれば教えてください。それともう一つは、正規職員の削減が進んでいる中で、非正規の方々は逆にその分増えてきたのかどうか、業務量に見合った処遇がどのように行われているのかを伺います。
人材課長  
正規職員以外の職員、いわゆる非常勤職員の部分のお話だと思いますけれども、非常勤職員という概念の職員ですが、平成22年4月現在の数字で申し上げますと、1,694人おります。これらの職員は、行政の補助員として事務的な仕事をしている職員の他に、大学ですとか医療機関において講師としておいでいただいている、パートタイム的な仕事をしていただいている職員の方が大多数を占めております。これ以外に臨時的任用として、正規職員で埋めきれていないところを埋めていただく臨時的に任用する職員がございます。これが270人。その他、再任用職員として、フルタイムで県の職員を一度退職して再任用の御希望があった人で、週40時間働いていらっしゃる方は118人。それから、短時間の再任用職員ということで、週29時間従事していただいている方が334人、これ以外に想定されるものとしては、日々雇用職員という形で繰り返しの業務に当たる職員がおりますが、時点によってとらえ方が様々になり、繁忙期には大量に雇い入れることになりますし、そうでない時期もありますので、時点としては昨年の6月末の数字ですと630人というふうになっています。
 傾向といたしまして、一番大きい数字の非常勤職員ですが、平成18年度は1,618人、先ほど申し上げた22年度が1,694人ですので、全体として職員削減をしている中で、業務量として、非常勤職員数はそれほど多くは増えていないという状況になってございます。
松崎  
非正規雇用の人たち自身も、正規職員の削減モードの中で、労働法制の見直しということが課題として上がってきている中においては、本来、民間企業で働いていれば、3年経てば正規職員への道が開かれるわけですが、県庁で非正規で働いている場合、3年間働いた方々はどうなるのか端的にお答えください。
人材課長  
それぞれによって雇用の形態が違っております。非常勤職員については、1年ごとの契約になっておりまして、問題がなければ、行政の事務補助員として3年間継続して同じ職場で働いていただこうという制度でございます。その後は行政補助員としての募集があればそちらに応じていただくということしか、今のところは用意させていただいておりません。
 その他の臨時的任用職員については、6箇月を一回区切りとし一回だけ更新できるという形ですので、1年間が一つの区切りとなります。それ以上は、任用の必要があれば任用させていただくという手続となります。
 再任用職員につきましては、退職した年度によって制度が違いますけれども、おおむね65歳に達する日まで任用させていただいております。
松崎  
公務員の採用ということには元々法律がございますので、いたし方がない面もあるということは重々承知しておりますが、しかし一方では、民間では少し前の報道にもありましたように過去、非正規で働いていた人たちを次々に解雇していった企業においても、もう一度そこは見直して3年ルールというものをしっかりやろうという機運が全体としてあるという中で、県庁においては民間と隔絶されていて、3年働こうがその人がどういう人であろうかは関係なく、一旦解き放ってしまうとういう厳然としたルールをただ運用するだけではなくて、その人の次のジャンプアップというものも同時に考えなくてはいけないと私は思います。
 先ほど、廃止される第三セクターの職員の再就職みたいなことに色々と苦心した結果、大多数の人はうまくいったというような報告があったけれども、その人たちの面倒をしっかり見ようということがあるなら、自分たちの業務をすぐ隣の席で日々手伝ってくれる人たちの持っているものを考える視点、これだけ雇用問題を県としては一番の施策として取り上げている中ではバランスを欠かないような対応が必要だと思うんです。その辺について、組織人材部長のお考えがあれば伺います。
組織人材部長  
基本的には公務員の場合、公平・公正でなければいけないということで、3年間雇用しても、それが優先的に正規雇用につながるものではないという地方公務員法上の制約があるということについては、御理解をいただきたいというふうにおもっております。 
 ちょうどこの3月に3年経って切れる方の後任について行政補助員という形で募集をかけましたところ、今のこの雇用情勢を反映しておりまして、1人につき10倍から40倍という応募が現実にあるという実態がございます。逆に言いますと、3年経った方が5年、10年といくかということになると、新たに雇用を希望されている方の道を閉ざすということにもなるわけでございます。とは言いつつも委員の御指摘のように、3年働いた方はどうするんだということについてですが、別のセクションであれば応募していただいて結構ですよということが一つございます。
 それから、元々この制度というのは、多くの県民の方々に雇用の場を県自身が提供していこうということから発した制度でございますので、そういう意味ではステップアップをしていただこうということで、研修もこれまでは若干弱めだったのですが、3年いる間に、正規職員や退職した職員と全く同じ規模とはいきませんけれども、研修や日ごろのOJTを通じて、正規職員の道へと御自分でチャレンジをしていこうと、勉強して挑戦してみようという方もいらっしゃいます。そういった道をつくることで、非常勤の方々の雇用の場を県自らが提供していかなければならないという両面から、今後も非常勤問題について取り組んでまいりたいと思っております。
松崎  
現下の厳しい雇用情勢に対して、県として優先順位を付けるとすれば一番だということを今度の新年度予算の中でも明確に盛り込んでいるわけでございますので、是非とも県庁自身における雇用ということに関して意を配っていただきたいということを強く要望します。
  1. 2013/05/14(火) 20:47:58|
  2. 神奈川県